皮膚の痒みに対する可視総合光線療法

令和3年10月1日発行の機関紙 光線研究に光線療法と皮膚の痒みに対する可視総合光線療法について投稿がありましたので紹介します。

痒みは、皮膚に何らかの異常が生じたことを知らせるシグナルです。痒みで掻くことは、痒みの原因となる皮膚の異常を取り除こうとする生体防御反応ですが、掻いても薬剤を使っても痒みの改善が難しいことがあります。
可視総合光線療法は、さまざまな原因で起こる皮膚の痒みに対して大変効果的な治療方法です。今回は皮膚の痒みと可視総合光線療法について最新情報を交えて解説します。

■ 痒みを伝える神経
かつて痒みは、痛みの弱いもので痒みを伝える神経は痛みと同じ神経と考えられていました。
ところが胃や心臓に痛みが出ても胃が痒いとか心臓が痒いということはないので疑問視されていました。そして1997年にようやく痒みだけを伝える神経が発見されました。
痒みは、虫刺され、カビ、かぶれ、アレルギーなどが原因で皮膚の中にヒスタミンなどの「痒み物質」が放出されて、痒みを感じる神経の末端に結合して脳に伝えられ、痒みを感じます。

■ 乾燥肌と痒み
痒みの原因は「痒み物質」のみではなく、難治性の痒みの多くは「乾燥肌」に関係しています。乾燥肌になると皮膚表面だけでなく、角質層にも隙間ができて異物が侵入しやすくなり、その刺激で皮膚炎を起こして痒みが出やすくなります。
痒みを伝える神経の末端部分は、通常皮膚の表皮と真皮の境界部近くに存在します。ところが最近の研究で乾燥肌では、この痒みを伝える神経が、枝分かれをして皮膚の表面近く(角質層のすぐ下)まで伸びてきていることがわかってきています。
このことで乾燥肌ではより痒みに敏感になっています。さらに掻くことで皮膚の掻き壊しが起こり、皮膚炎が悪化するので、痒みが強くなります。
痒みの軽減には、乾燥肌の改善や掻くことを我慢することが大切ですが、痒いところを掻くと快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンが分泌されるため、掻くことを抑えることが難しくなり、つい掻いてしまいます。

■ 乾燥肌になる原因
乾燥肌になる原因には次のようなことがあります。
①皮膚の洗いすぎ
②加齢
③生活習慣の乱れ
④空気の乾燥
皮膚表面には約1兆個ともいわれる皮膚常在菌がいて、この皮膚常在菌が作り出す脂肪酸が汗や皮脂と混ざって弱酸性の理想的な皮膚脂膜作っています。
皮膚を洗いすぎると常在菌や皮脂膜が乾燥しやすくなります。また皮膚常在菌が減ると、アルカリ性を好むブドウ球菌という悪玉菌が増えてきます。黄色ブドウ球菌は化膿菌で、傷ついた肌でさらに繁殖します。黄色ブドウ球菌も、痒みを誘発する一因といわれています。
また加齢や生活習慣の乱れなどは皮膚の新陳代謝を低下させ、皮膚の保湿能力が低下することから乾燥肌の原因となります。

■ 皮膚のターンオーバー
皮膚の新陳代謝はターンオーバーとよばれ、皮膚の一番外側にある表皮の基底層というところから細胞分裂によって新しい細胞が作られ、徐々に皮膚表面に押し上げられて、最終的に垢やフケになり剥がれ落ちます。この周期は薬28日といわれてます。

■ 紫外線と痒み
従来は紫外線の痒みに対する効果は、痒み物質であるヒスタミンの分泌を抑制するためと考えられてきました。しかし、最近の研究で、痒みを伝達する神経繊維が皮膚に伸びてきて、痒みに敏感になっていた皮膚の神経繊維が、紫外線によって後退することで、痒みが軽減することがわかってきました。このことは、近年「順天堂かゆみ研究センター」の研究で世界で初めて実証されています。

■ 可視総合光線療法
可視総合光線療法の光線には紫外線、可視光線、赤外線が含まれています。紫外線は、前述のとおり痒み神経の退縮により痒みの改善に役立ちます。また紫外線は痒みの一因になっている黄色ブドウ球菌の殺菌作用もあります。
さらに痒みを引き起こす原因である乾燥肌に対しては可視光線と赤外線が、皮膚のターンオーバーを正常化し、保湿機能やバリア機能に富んだ角質層の再生を促進し、乾燥肌を改善します。
可視総合光線療法は、紫外線、可視光線、赤外線が総合的に作用して様々な原因によって生じている皮膚の痒みや炎症の改善にも大変効果的な治療方法です。

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